立体作品の制作過程から、ドローイング作品が生まれた

立体作品を作る前には、すぐに沢山のスケッチをする。

沢山のスケッチとドローイングは

頭のなかで思いついた「形」だから、

頭のなかに思いついた「形のその先」を自分は作っている。

ドローイングでは本当に何百という形を描きとめているけれど、

その中から自分がピンとくるものや

一番惹かれるものを作っていく。

立体作品を制作する前にはそういうプロセスを踏んでいて

それは、ドローイングの上だけで考えているのではなくて、

まずは自分の頭の中にある形とか色合いなんだよね。

もっと言うと自分の中から湧き上がってくる色とか形が

いっぱいあるからこそ、Drawingになっていくわけだし

その中から掻い摘んで膨大にある中から選んで作品を作り始める。

頭に思い浮かんだまま本当は全部を作りたいけれど

そういうわけにはいかないので、ドローイングのなかから

選んだ一つ一つを立体を時間をかけて作っていく。

でも勿論立体作品ならではの良さがとてもあるけど

もっと「そのまま呼吸するように思いついた色や形が

作品になれば」良いと思う瞬間があった。

最初は立体作品を作るためのドローイングというところから始まり。

もうそうじゃなくて、じゃあ「それだけ思い浮かんで全部を

作品にしたいのであれば、一個一個をそのまま作れないから

もうそのまま描いたもの全部を作品にしよう」と思い立った。

もともと立体を作るためのものだったのが絵に分化していった。

そういう経緯があり平面作品が生まれた。

それが2022年の12月に描き始めた、

直感的なスケッチを通してイメージの可視化をする

シリーズである「ANIMA」。

思い浮かんだもの。それはイメージのなかの立体であり

平面でもあり、立体作品の前のスケッチというところを超えて

自分自身が「いつも感じていた」ことであり、

滲み出る色合いや形は作品として成立したから

「そういうもの」の平面表現を追究したくなった。

‘ANIMA’, 2023, Ink on paper

立体作品はドローイングの前段階も含めれば制作に本当に時間がかかるけれど

ドローイングはもう思うままに描き連ねることができる。

日々の感じていることが目の前で出来上がっていくというのが

ドローイングの良さであり、それがすぐ気持ちが良いし表現したいことが

そのまま表現できる、追究できるというのがすごく面白かったし

そのままでいいんだなって思った。

展覧会場でもよく「絵が先なんですか」と言うふうに

言ってくださる方もいるけれど、

実は立体の方が先でその後に絵を描き始めた。

自分の場合は立体作品を制作する多くの人と順序が逆で、

立体から入って平面作品を制作するようになった。

でも、もちろん幼い頃から大学に入る前、大学以外ではもちろん絵を描いていた。

大学で制作する作品が、徐々に大学のなかだけじゃなくて

「もっと私個人的で尚且つもっと社会の中に溶け込んでいくような

表裏一体のものとしての作品」が作れるようになったのが立体作品であり。

そういう風に自分の初めて納得のいく作品の延長線上に

絵が描けるようになった。

立体が先で、ドローイングが後。それは、

立体作品を作る前からドローイングをしていたことがきっかけになった。

‘ANIMA’, 2023, Ink on paper