立体作品の原点(2) – 装飾の奥深さ –

続き。

今まで大学の作品には、自然と花のモチーフが登場していた。

生活に関わる道具を作るところで、機能性よりも、自分は装飾性を意識していた。

装飾性を追究し続ける人はあまりいなかったから、

影響されやすい当時の自分はそこに影響されて本当に追究したいことに

ストッパーがかけられていて、100%の追究をすることができなかった。

でも、使いやすさというかなんらかの道具というか

枠を超えて広い意味での「装飾性」を思う存分追究することができたのが、

OBJECTRUM」という学部時代の卒業制作作品。

昔から煌めくものや植物が好きだったことを思えば

自分の中では、装飾性を追究する事は自然な流れだと思う。

でも、これは「その当時の考え方」だが、周りの色んな人がシンプルでかっこいいものを

作っていたので、自分みたいに時代に逆行するような

装飾的なものを作ることについて、受け入れられない自分もいた。

それでも自分の原風景や原体験に向き合ううちに

社会的なデザイン潮流はどうでもよくなった。

もっと装飾の起源について知りたいと言う気持ちになり

土着的な装飾を知るために、北海道のアイヌの民族衣装を見に行ったり

民芸で有名な地の長野県松本市や静岡県の登呂遺跡に行き

各時代の様々な装飾を見た。そうするうちに

装飾を描いた人の気持ちや感性がなんとなく、じわじわとわかってくるようになった。

そこには、時代を超えた人々の願いや思いやエネルギーが込められているのであり、

それを表現する媒体や型は時代を象徴するものである。

しかし、様々な装飾を見てみると、

時代を超えてその奥に潜んでいる「装飾を施したいという強い衝動」や

「描かなければならなかった何らかの強い思い」が

なんとなく今に共通している部分があると思った。

そう思った時に、人類はやっぱり繋がっていると感じた。

そんな人類のつながりは装飾の形に、その中に残っていくのだと思う。

願いや思いの形が、込められた感情が

そのまま残り続けるものとして「装飾」があるって奥が深いなと思った。

もっと知りたいと思った。

そして、もっと学んでいくことになった。

続く。

「OBJECTRUM」撮影日 2022.5.17